正確な角度とハーフトーンスクリーン線数を、特定の高解像度出力機に反映できるフォトショップの設定項目。ただ私が20歳くらいの頃には金属バットがでてきたものですから、いまでは木製バット職人は5名になりました。現在、この養老工場で製造される木造バットは特注分のみ。その他一般品は富山で製造されている。米国メジャーリーグ選手だと特注も80年台から請け負っている。ピート・ローズのバットを作ったのが最初のメジャー選手だったと思いる。(ピート・ローズ:85年9月、4192安打を放ち、タイ・カッブの記録を塗り替えた名選手) 海外からも受注するっていうのは、ミズノさんが積極的に宣伝活動したのですか? そうですね。やはり大リーグの有名な選手に使って頂くのが宣伝になる、と。グラブの利用からスタートして、認知度が高まりました。今では現役プレーヤーで8-9名位使ってくれている。 はい。最初の出会いは、彼がオリックス入団2年目のシーズンオフに、当時よく来ていた小川博文さんと一緒にいらっしゃいました。実はその頃、私は鈴木一朗選手って存じ上げず(笑)。でもそのシーズンにハワイでのインターリーグ(HWB)でイチロー選手がリーディングヒッターだった。小川さんから「このコはいいよ」と言われたんです。それが最初でしたね。 同氏の余談:久保田マイスターとイチロー選手の出会いは実はこれが初めてではなかった。イチロー選手が地元名古屋・愛工大名電で野球児だった頃、久保田マイスターとイチローは愛工大名電で顔を合わせている。その出会いを覚えていたのは、勿論、当時高校球児だったイチローのほうだった。 年始のNHK番組でイチロー選手が「今の自分があるのはこのバットのおかげ」って言ってましたよ!あれ以来、あのイチローにそこまで言わせた、久保田さんに是非お会いしてみたいと。それ以来ずっと作り続けていらっしゃるのですね? はい。そういう意味では非常にいいお客さんの仕事に巡り合えましたね。 イチロー選手のバットは、普通のバットと比べて何か特別なのですか? うーん・・・普通って何?ってことです。バットはみんな違いる。これ松井選手のバット。これイチロー選手のバット。ちょっと持ってみて下さい。 (ふるえながらバットを握るしゃちょー)なるほど。イチロー選手のは軽いですね。これが松井選手の。はぁー。(溜息)しかし、使う側から注文するときは、フィーリングですよね?それをどうやって落とし込むのですか?それが職人技? それはいろんな会話の中で形になっていきます。たとえばスキャナは、一番好きなところと(残したいところ)と、一番きらいなところ(削りたいところ)は?と必ず聞きます。あとはそれを削っていくだけ。これはもう経験。150キロのボールをこのバットでミートできるレベルの技術(腕)はすごく特殊であり、絶対に私たちには真似できないし体験できない。だったら、体験できる方からお話を伺うっていうことしかできない。さっき、野球の経験について話しましたが、(クラフトマンとして)野球経験があることはプラスになるかもしれないけど、必須条件ではないと思っている。知ってらっしゃる方に「聞く」ことが一番確実かと。そして作る側としての提案ならできるので、それに対して「良かったよ」とか「良くなかった」っていうフィードバックもまた経験として積み重なっていくのです。 なるほど。ところで、名人にお聞きするのはなんですが、家庭教師さんがつくられるバットはどこが違うのでしょう? 私たちの仕事は1ついいものつくればいいっていうものじゃないんです。そして、合格点が90点なのか88点なのか、各選手によっても違いる。イチローさんだったら1シーズン120本分作らなければいけない。イチローさんはゲーム用にだいたい24本必要としていて、その24本が必ず毎年120本の中にあるのかどうか。すべて木製ですから全く同じバットはこの世に1本もない。 この仕事で一番難しいのは、同じパーツを2度と使えないこと。120本供給させていただくとなると木が1万本必要です。イチローさんの基準でいえば恐らくベストは1本のみ。彼の中では1番から120番の順番付をしているのだと思いる。こちらから「これがゲーム用」という提案はしません。すばらしいバットが何本かあったかもしれないけど、120本のうち24本使えるものが必ずあるっていうこと自体が「信頼関係」なんだと思いる。 1991年にオリックスから4位指名され球界入団したイチロー選手。予備校で指名されたイチロー選手は球団から与えられた背番号「51」を付けた。選手の中には、レギュラー選手になると1桁や若い2桁の背番号に変更する人もいるが、イチロー選手の背番号はずっと「51」のまま。奇しくも久保田マイスターの名前は「五十一(イソカズ)」。この出会いは運命だったのでは。 いまはイチロー選手と松井選手のクーリングオフだけ私が作っている。その他は、パ・リーグ選手とセ・リーグ選手にわけて二人のクラフトマンが対応させて頂いている。イチローさん、松井さんのバット製造をバトンタッチしたら私はもう・・・(笑 そう。でも実際は視力がつらくなってくる。私は52歳で老眼鏡に変えましたが、きっかけは店舗デザインでした。注文品に対して0,2ミリ細いものを出してしまったのです。こちらの言い訳なんだけれども、曇りの日とか夕方は目盛が見にくかったのです。ところが、その違いに気づいた当時の落合選手(現:中日監督)が工場に2本バットを持っていらした。同じ注文なのに1本がどうも細い、と。測ったわけじゃないからわからないけど、ぜったい細いからみてくれとおっしゃるのです。 私も納得できなかったので、そんなことないと思いますと測ったところレーシックに0.2ミリ細かった。その時、私は「非常に初歩的で失礼な質問ですが、0.2ミリ細いとどうしてダメなのですか?」と率直に落合選手に聞きました。そうすると、「久保田さんね。我々はバットを常に力を入れて握っているわけではないのです。極端にいうと落ちるくらい軽く握っている。それで、ボールがあたるときに初めて力を入れる。その時に0.2ミリ細いとその分力が入るのが遅くなる。若い子は手袋するけどぼくはしない。バットが細いと力を入れた時に手の中で遊んでしまう。それでダメなんだ」と。